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愛しき玄界灘へ - 魂の求める先に - 70年代の面影

愛しき玄界灘へ - 魂の求める先に - 70年代の面影

 激しく昂る波。周期の長いうねりは見当たらない。そこではいつも急にビルドアップした風波に一喜一憂される。オンショアを嘆こうものなら、ひとたび強く叱られてしまう。すべてはアティチュードなのだよ、という姿勢は、玄界灘でサーフィンを始めたから学べたのかもしれない。福岡の人間は、クールで物静かなのか。ハッピーで楽しい空気を醸すサーフィン感とは、ほど遠い独特の立ち振る舞いがある。こうして千葉に戻ってから俯瞰してみると、波が良いこと/有ることが、正解でも正義でもないのだと思う。こっちでは明日から飛び切りの、この春らしいグランドスウェルに恵まれそうだというのに、どうしてか、玄界灘が恋しくなる自分が居る。

 

もう、4年前か。父親が亡くなってからというものの、自分のルーツとこれから先のいく先や終着点を意識するようになった。中学を卒業してから生まれ故郷の福岡を離れて、時は経ち、今また時間をかけて、その福岡が自分にとってどんな存在なのかを確かめている。(それは千葉の素晴らしさを再認識することにもつながる。) もちろん、波は乏しい。日本海のエリアでも、韓国がすぐ頭上にある立地のため、しっかりとしたスウェルは入りづらく、南うねりも拾いづらいため、夏も波はない。ただ、湘南を見れば一理あるように、常に波が有ればいいわけでもなく。波がないと心が落ち着く。でも波があれば、その恵みに感謝する。その思いも一際強くなる。それもまたサーフィンが与えてくれるメリとハリであり、人生をより豊かにしてくれる、おおいに素晴らしいエリアである。

 

 今回は、お墓参りと共に、ロングボードを始めた頃の憧れだった先輩のヨウジくんが企画してくれたサーフクリニック&コンテストな「Gate Of Hero」への参加がメインのトリップ。で、裏テーマとしては、ありとあらゆる思考を捨てて、純粋に故郷福岡や、玄界灘へ向き合いたかった。千葉や太東での日々は素晴らしいものだけど、自分が何者かわからなくなるときがある。波乗りに関しても、情報が多すぎると視界が曇るわけで、そんな自分のサーフトリップにシンプルに向き合えるサーフボードをTappyに作ってもらったから、それを抱えて故郷の玄界灘に対峙するのも密かな楽しみだった。コンパクトながら厳しさが海全体を纏うあの玄界灘の雰囲気がいい。入り組んだ地形、街と田舎と共に連なる海岸線は、いくつもの表情を持つ。波が無くても海という自然が見せる多様さが、心を満たしてくれる。そんな海の魚は格別に美味しくて。恵みそのものが心に根を張っている。

 

自分にとってのサーフィンとは、楽しいとか嬉しいとか、うまいとかへたとか、そんなものを超越した部分にたどり着きつつある。海にはいろんな魚がいるように、サーファーもたくさんいるわけで、その集合体としてのサーファー、そして個々のサーフィンがあること、それらを心で感じることができるようになると、いろんなことがどうでもよくなってしまった。ただ生きていることの喜び、エネルギーとの交わり、在ることへの感謝、おごりなく淡々と自分が自分でいること。できていないことも迷うこともある。これから先もまだまだある。きっと死ぬまである。解決できないことも、人に迷惑かけることも。誰かを救うことも、すべてが綺麗に繋がることも。海が海である以上、自然と必然と、動いている。流れている。生きている。なぜ波に乗るかなんて、答えを求める必要もない。自分が生きててよかった、ワクワクする感覚、世界が彩る瞬間、それでいい。自分にとって、お墓へ足を運ぶこととは、面倒で意味のないように思えるけれど、そうしてまた出会える景色と交われる人がいる。そうした挑戦、回り道、潮目を読んで、動く、乗れそうもない波にチャレンジしてみる。大きな流れを感じてみる。刺さってもいい。転んでもいい。巻かれてもいい。ああ、よかった、またここに帰ってこれた。そんな安堵感もまたいい。魂はなにを求めているのだろう。

 

 写真にもある、青いエアブラシが施された、Tappyが削ってくれた7'2のサーフボードは、ああしたいこうしたいというライディングのうんぬんや、テイクオフが早いとか、リッパブルとか、ハイスピードが、とかもうそういうのは、全然組み込まれてなくて。なんかこう、サーフィンとかサーフボードって、もっとこう心に響くものだよね?っていう。少なくとも、サーフボードのそういうオーラが欲しくて。自分のなかでは、やっぱり70年代の、カウンターカルチャーてきな、ヒッピーグラウンドな、かといって排他的でもなく、ジェリーさん率いるサーフィンへのソウルあふれるあの感じ、とにかくサーフボードそのものが息吹いているような、かっこいいというと安易だけど、なんかこうビリビリするやつ、わかりますか?って、泣きながらすがるような感覚で、自分で紙にアウトラインを書いてみたものを、提出して。でも、いわゆるトッシュみたいなパイプライナーじゃなくて、あくまで福岡千葉基準、玄界灘でも房総沖でも、サラリーマンにでも、なんなら猫や犬にでも響くような。んでもってデザインとしては、やっぱり当時のボキシーな感じ、ずっしりとした重厚感、重たいブランクとまでは言わないけれども、がっちり厚みもあって8オンス。んでもって、ガニーではなく、マックスワイズも広げて、しっかりとテール幅も持たせて、ピンテールでとがりすぎないように、スクエアテールだとありきたりだから、ギンギンキラキラのダイヤモンドテールで。ティントもいいけど、もはや古いから、Tappyの最たる得意分野であるエアブラシを伝承させる意図も含め、クラフトマンのヒデキにもトライしてもらおうという以心伝心として、デッキはエアブラシを施してあるという。結局ティントと樹脂ピンラインのコンビネーションになって、これまたピリッとした表情になりつつ、色味がマイルドかつ、K3の1000番仕上げで、だれの心にも届くような。結果、乗ること自体、脇に抱えること自体、ものすごくワクワクするような仕上がり。そんなボードを玄界灘と触れ合わせた、今回のトリップでは、結局2ラウンドのサーフィンしかできなかったけど、それはそれは満たされたものになりました。

 

 結局ラーメンが食いたかっただけだろと言われれば、本当にそれまでかもしれないけど、波に乗ることもたいしてそんな変わらないわけで。でも以前よりも、格段に気持ちがいいサーフィンができているのは、気持ちの赴くままに、波を求めて海へ足を運び、いらないことを考えすぎる必要もないからなんだと思う。そうしたことができるのも、サーフボードを作ってくれる人たちがいて、ウエットスーツを作ってくれる人たちがいて、サーフポイントをアテンドしてくれる人たちがいて、仕事を作ってくれる人たちがいて、絶えずお客様がいてくださって、なんなら、クラウンパーキングのおばちゃんも変わらず元気で、LCCの飛行機を運営してくれている人たち、サーフボードを大事に運んでくれる人たち、福岡滞在を陰ながら支えてくれる友達、海以外の日常を彩る同級生たち、多様な生き様を見せてくれる先輩たち、自分のやらなきゃいけないエゴを捨てて、プレッシャーのせいにせず、すべてに感謝ができると、こんなにも気持ちがいいんだっていう。気持ちの赴くままって、幸せですね。

 

ということで、千葉に戻っています。やらなきゃいけないことが、山ほどありながら、なんとかこなしていきたいと思いますが、さてどのようになるのか、YR2026、メインのシーズンが、もうすぐそこ、今はじまろうと。とりあえずサーフボードとウエットスーツ、どんどんおすすめしていきながら、レンタルやボードロッカーのプランニングも進めつつ、子供たちも海に入りたくてたまらないみたいなので、優先順位がとても難しいのですが。健康第一で。今日もおつかれさま、ありがとうございました。明日もまたよろしくお願いします。

 

Yuta

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